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2010年全国大会実施報告

2010年 全国大会実施報告書 [3.45 MB]PDF


会長挨拶


ゆとりある豊かな住生活を実現する国民推進会議 会長 奥田 碩 氏

御紹介いただきました奥田でございます。「ゆとりある豊かな住生活を実現する国民推進会議」も本年で第3回目を迎えたことになります。簡単ではございますが、一言開会に当たりまして御挨拶を申し上げます。

我が国の住宅市場は、2008年秋のリーマンショック以降急減いたしまして、昨年度の国内の新設住宅着工戸数はリーマンショック前の100万戸以上の水準から78万戸となっております。ここ最近やや持ち直しの兆しも見られますが、ローン減税の拡大、自己資金も対象とした投資減税の導入、贈与税の非課税枠の拡大、住宅エコポイントの導入など、相次ぐ景気対策が市場を下支えしており、まだまだ回復とは言えない厳しい状況でございます。

さらに、中長期的に見ますと人口・世帯数の減少という厳しい環境がございます。しかしながら我が国の住宅、あるいは住環境を「質」という面から見ると、経済大国にふさわしいものであるとは決して考えられません。質の向上を図ることで新たな需要を創造していくということが今後可能であると思っております。

住宅、住環境の質の向上はビジネスチャンスということだけではなく、住む人に暮らしやすさ、生活の潤いやゆとり、暮らしの安心感など、さまざまな価値を提供することで、豊かな住生活を実現することにつながります。

「質の向上」の第1番目は、住宅の環境性能の向上により、快適で満足度の高い生活を実現することでございます。日本のCO2排出量のうち住宅、あるいはオフィスビルなどのいわゆる民生部門から排出される割合は、2008年で36%を占めており、90年と比べまして39%増加しております。政府は2020年に90年比マイナス25%という目標を打ち出しており、国民の環境意識の高まる中で環境問題への対応で住宅やオフィスへの対策が果たす役割は今後大変大きくなると考えております。

一方で住宅の環境対策は、住む人にもさまざまな価値を提供いたします。1つは夏は涼しく冬は暖かいという快適な暮らしの実現ですが、これにあわせまして地球の環境問題に貢献しているという、住む人の満足感を高めることにもなります。

さらに電力を自給自足できる住宅の実現により、経済的なメリットも享受できます。今後、住宅の環境対策のためには断熱性を高めるなど、住宅そのものの省エネ性能を向上させるだけでなく、高効率給湯器などの「省エネ機器」、太陽光発電などの「創エネ機器」、さらには蓄電池のような「蓄エネ機器」もあわせて装備し、いわゆる「ホーム・エネルギー・マネージメント・システム」(HEMS)で制御をすることで電力を自給自足できる住宅を実現することが重要になってくると思います。

またオフィスビルについても同様に、省エネ・創エネ・蓄エネ機器を組み合わせ、これを「ビルディング・エネルギー・マネージメント・システム」(BEMS)で制御することにより、「ネット・エネルギー・ゼロ・ビルディング」というものを実現することが可能です。

なお、オフィスビルや店舗などの省エネについては、天井の照明を現在の細長い蛍光灯から同じ形状のLED照明に交換することが有効であると思います。こうしたLED照明は、これまで国内の安全基準がなかったことも普及の妨げとなっていたようですが、先日、安全基準が制定され今後各社からこの基準に沿った新しい製品が発売されると聞いております。オフィスや店舗などの省エネ、CO2削減のためにこうしたLED照明に積極的に交換をしていくことが必要です。

また、今後プラグインハイブリッド車や電気自動車が普及してくれば、こうした車を自宅とつなぐことで災害時などの緊急の際には蓄電池と同じ役割を果たすことができます。

このような環境性能にすぐれた住宅やオフィスビル、車を基本単位として、これらをスマートグリッドでつなぐことで街全体での効率的なエネルギーマネージメントが可能となります。今、日本各地で実証実験が行われており、その実現に向けまして、今後さまざまな課題の解決が求められております。現在、各国で仕様がばらばらになっております住宅と車をつなぐ接続部分、いわゆるコネクターの標準化も今後必要であろうと考えられます。

こうした環境面での取り組みは、住む人に新たな価値をもたらすだけではなく、環境にすぐれた製品、システムなどの開発・普及を通して経済成長を実現し、国民の雇用・所得を改善するということにもつながります。政府の「新成長戦略」の中でも「エコ住宅の普及」「住宅市場の活性化」ということが盛り込まれております。

住宅産業はそもそも経済波及効果が非常に大きく、私は常々住宅こそが内需拡大の柱だと申し上げておりますが、先ほど申し上げました省エネ、創エネ、蓄エネ、スマートグリッドなどの周辺機器、システムを含めますと、今後はさらに経済波及効果が大きくなると考えております。

「質の向上」の2つ目でありますが、耐震性能の向上や空間的なゆとりによる「安心・安全で豊かな暮らしの実現」であります。現在、耐震基準を満たさない住宅は全国に1千万戸以上あると言われております。地震の多い我が国におきましては、こうした住宅を耐震改修で補強することや、建てかえていくことが、国民の命を守るために最も急がれることでございます。

また、世界有数の経済大国にふさわしい「ゆとり」ある生活空間を実現することが今後必要であります。これは単に家が広くなる、あるいは暮らしが便利になるといった直接的な面だけではなく、現在、我が国が直面しているいろいろな課題の解決にもつながります。

例えば、少子高齢化の課題についても、高齢者が豊かに生活し、また十分な介護を受けられるためには、広さと間取りにゆとりがあるバリアフリー化された住宅が不可欠です。また3世代同居によってお年寄りが孫の面倒を見るようになれば、女性の労働環境の改善につながりまして、ひいては少子化問題の解決にも貢献することが期待できますし、お年寄りにとっても新しい役割を担うことによる生きがいにもつながります。

また良質な住宅、住環境は個々人のゆとりのある生活を実現させるだけでなく、空間的なゆとりがもたらす精神的な豊かさを通じ、家族や地域でのきずなを深めるということにもつながります。広い居住空間は大人に限らず、将来を担う子供の豊かな創造力を育むということにもなります。

さらに住宅そのものに加えまして、魅力のある美しい街並みを整備するということも今後、「質の向上」という点で非常に重要になると思っております。私は海外出張から帰るたびに日本の街並みを海外の街並みと比較して、彼我の差を痛感いたしております。区画は整備されておらず、また所狭しと住宅が密集し、空を見ればクモの巣状に張りめぐらされた電線が空を遮っている。これが日本の現状であります。

街並みというのは住まいの質を構成する重要な要素でございます。区画整理には多大な時間を要するため、まずは電柱の地中化を進めることにより景観の改善に取り組むとことが今後の日本にとっては必要ではないかと思っております。

最後に申し上げたいことは、このような質の高い住宅を、特に若い人が無理なく持てる社会をつくらなければいけないということです。統計によりますと、住宅の主な1次所得者層である30代の年収は10年前に比べて40万円から50万円も減少しているそうです。家族を持ち、住宅を持とうと思っても持てない、あるいは持てても狭くて質の良くない住宅になってしまうということでは、将来若い人が夢を持つことができないということになります。

そのためには、もちろん景気を回復させることで若者の雇用あるいは所得環境を改善するということが大前提ですが、ハウスメーカーも「安くて質の高い住宅」を供給できるように努力していくことが必要です。

政府の税、財政、金融面での施策とあわせまして、住宅取得という夢の実現に向けまして「官民一体」で後押ししていくということが重要だと思います。

以上、簡単ではございますが、第3回全国大会の開催に当たりましての冒頭の御挨拶といたします。どうもありがとうございました。

 

 

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