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HOME > 2010年 全国大会 実施報告 > シンポジウム(6)
ゆとりある住生活を実現するための住まう技術×建てる技術
松村 氏

ええっと、今の話題ではなくて、ちょっと最初の問い掛け。ちょっと最初の問い掛け忘れてしまったのですが、おおよそあっていると良いんですが、これから建てる人たちが何を考えていけば良いかというような、最後にコミュニティーの話も含めてね。で、僕はこういう会に出るたびに思うのですけれども、こういう会とか会議とか。どうもですね良い住宅っていうのがあるという前提で議論していることが多いですね。確かにそういう時代があった。今よりも良い住宅というのがあるから、こうしていこうというようなことを政策的にも誘導するし、あるいは企業の側もそれを押し進めていくと。で、それはかなりの人数の日本人に求められているという状況が確実にあった時代があるんじゃないかなぁと。ところが今はですね、どうもそういうのはあまりない。つまり日本の人誰にとっても良い住宅というようなものというのは多分なくて、この人にとっては良い、あの人にとっては別にどうっていうことないというようなことが環境に関してもあるであろうし、そのコミュニティーに関しても、あるいは建物そのもののスペックに関しても、すべてそういう時代になってきていると思うのです。ですから住まい手が主体的に行動できるというか、市場の主役にならざるを得ない。産業がいくら求めてもなかなかそれが見つからないし、非常に手間がかかった上に外れるということが多いと思うんです。
そういった点からすると、一つは僕は多分、ストックを生かすということでいうと一番重要なのはあまり好きな言葉ではないのですが、マッチングサービスですね。つまりこういう場、こういう環境、こういうところで暮らすということを、ピタッとくる人というのが一部に、例えば5%いると。そういう人がそこで暮らすと非常に気持ち良く暮らせるんだけれども、それ以外の人が来てもたいして良さも認めないし、価値も、あるいは流通価格も上がらない。だけれどもある人たちにとっては価値があることなので、それは流通価格も上がるし、売る側としてもありがたいと、そういうように大事に思って使って貰えるならというような、そういう意味でマッチングサービスというのは一つ非常に重要だろうと思いますし、住宅産業というのは今まで住宅を造ってきた訳ですけれども、それはそれで残っていく分野としてあるのですが、エリアマネージメントですよね。その地区の、どれくらいの大きさか分かりませんけれども、今日も冒頭の方でスマートグリッドとかいうお話しも出てきましたけれども、恐らくこれからエネルギーだけじゃなくて、水・食料。そういう、およそ生きていく上で必要な環境について、ある単位で考えていく。国という単位ではない単位で考えて、場合によっては住宅地で考えていくことが、いろいろと出てくると思うのです。そうすると、そういうことを含めて、どういうように住宅地というのを、うちの住宅地はこういうふうに、何ていうのでしょうか経営していこうと。あるいはこういう住宅地にしていこうというような方向をプロとして導いていったり、あるいはアドバイスできたり、助けたりすることができるような仕事というのが、非常に重要になってくるのではないのかなぁと思います。
青山 氏
今、お話しに出てきたような自分がこう住みたいというような家に、なかなか一般の人は出会えないんですよね。で、今仰られたようなマッチングサービスというのは、今、業界の中ではどの位進んでいるものなのですか。かなり進んできているものなのですか。
松村 氏
さっきたまたま出したよくでてくる例なのですが、東京R不動産なんかはネットでやっている訳ですけれども、普通の人が見るとどうでも良いようなビルが出てきたりするんですね。だけれども、そこにすごく気の利いたコメントが書いてあって、「昭和40年代前半のいかにもありそうなタイルが可愛い」とか書いていたりするんですよ。例えば。それに、ビッと反応する人たちが、ある一定層必ずいてグルグル動いているという。それがまさにその何ていうんでしようか、そのほかの人にとっては「えぇっ、あのビルに住んでいるの」といった感じだけれども、その住んでいる人にとっては、ものすごく気持ち良いと。ここに、こんなビルが好きっていうようなことが。たぶんある年齢層とかある例えば住宅メーカーだと、ある一つの企業ですね。そのカラーに染まった人たちの間で、いくら話し合っても出てこない感性というのがいっぱいある訳ですね。市場に。それが非常に大量に存在する時代になってきているので、そこをどう繋ぐかという仕組みの作り方みたいな方がきっと大事になってきそうだなぁ、と。東京R不動産の例なんかを見て思いました。
青山 氏
なるほどね。残り時間があと5分くらいしかなく、あのう時間厳守ということなものなのですから、もう残すところあとお一方に与えられる時間は1分少々しか御座いませんので、これで時間厳守でお願いをしたいと思いますが。どうしましょう。月尾先生も5時厳守なので。では先にお纏めのコメントを。
月尾 氏

纏めではないんだけれども、僕ね今の日本の状況を考えると空き家が非常に多くなるとか、それから人口が減っているからと土地代が上がるということは、一部限られたところ以外はあまり考えられないような時代になってね。かつてインフレヘッジを考えてみんな家を持ちたいのではなく、土地を持ちたいという時代があったんですね。それでね僕はね、これからは良くいわれていることなんだけれども、持つというよりは使うということにどれだけ知恵を使うかという時代が来ると思うのですよ。僕も若いころは別荘に憧れて、別荘を持ったんだけれどもね、こんなつまらないところにいるのは嫌だと思って、直ぐに売っ払ったんです。今まぁ偉そうにいうと、全国に10数件別荘があるんですよ。みんな友達の家をね、勝手に別荘だといって、連絡して「明日行くよ」って言ってね。そうすると、いろんな環境を楽しむことができるし、それからメンテナンスも殆どしなくともね、それからだいたい別荘が不人気というのはご経験ある方多いと思いますが、奥さんが「こんな所まできて、また料理を作るの」とか「洗濯するの」って大変な不評で、だけど人の家に行けばだいたいご飯も作ってくれるということなんです。
ということで、私は住宅産業は一つの目的としてね、これまではとにかく持って貰うと。建てて貰って、それを買って貰うということが中心だったんだけれども、使って貰うということで、その新しい産業分野、もちろんすべてがそれで良いという訳ではないんだけれども、それを是非、開拓していかれて多くの人が自由に使うという形で住宅資産というものが社会的に流通するという仕組みができていったら、なかなか良いのではないかと思いますね。
青山 氏
どうもありがとうございました。それでは甲斐さん。
甲斐 氏
僕もマーケティングのコンサルトをして、僕の会社、マーケティングコンサルタントですけれども、ハウスメーカーのいろんなお手伝いをしているんですね。その中で思うこと、ちょっと言いたいと思いますけれども、今の月尾先生のお話にも繋がるんだけれども、ハウスメーカーの仕事のスタイルって、やっぱり造って如何に売るかというところに一番エネルギーがあって、もっと悪い言い方をすると売り放しという状況が起きていることが、すごく気になるんですね。実際は入居後のどういうふうにその家を使いこなしてくれるかというところに豊さが本当はあるのだけれども、例えばね、あるハウスメーカーと組んで環境共生型のいろんな仕掛けを造りあげて、売り物にしている訳です。で、実際にそれを売って販売をするんだけれども、販売するだけではなくて、その後の、入居後のフェローアップをきちんとしようよと入居後のモニターをやってみたんですね。そうすると夏、例えばこの環境共生型の仕掛けを使えば夏にクーラーなしでも何処まで快適になるのかということは、やる気になればできる訳ですね。まさに我が家がそうなんだけれども。
で、それを実際にできるように、モニター住宅の中で提案してあげて、データーも採って、もっとこうこうこういう生活の工夫をすれば絶対に変わるからねって。てなことをやるんだけれども、結局、できない。何故できないかということが分かったのは、要するに商品が足りないのです。で、環境共生と謳い込みながら実際の暮らしの場において、じゃあここに日射遮蔽したいのに、全然そのフックも付けられないじゃないか、とか。それから庭をもっと一体設計しないと全然意味がないのに、庭造りと家造りが全然違った部署がやっていて、駄目じゃないかとかね。そういうような、いろんなできていないことがたくさん浮き彫りになるのですね。で結局、何が言いたいのかというと、売り放しだと気が付かないんだなぁと思ったんです。きちんと入居後のサポートをして、その人たちの生活をちゃんと高めたところまでをサポートします、売り物にしますというところをやった時に、初めて商品をどういうふうに造り上げるか、それから設計力をどういうふうに磨くのかというところに、自社の力にフィードバックできるんだろうなぁと。それは強いマーケティングになるだろうなぁ、と。だから、どうしても手間のかかることはなかなかマーケティング的には難しいと考えがちなんだけれども、いやそうではないと。実はそこのストックをすごく贅沢にしていって、そこでブランド価値を作っていって、作りあげて、それで省エネの高い商品までフィードバックしていくんだ、と。そういう一貫性のある体制を作ることが重要ではないかなぁと思います。
青山 氏
ありがとうございました。松村先生お願いします。
松村 氏
はい。えぇっと、まぁ繰り返しのような、繰り返しでないような話になりますけれども、住宅を考えるというのが、多分昔はある種の生活の様式というのが特定できる形で、ある程度特定できる形であって、子供がいて、こうでという。それに向けて住宅という箱をきちんと造っていくということだったですね。ところが、やっぱり今はなかなか一緒に飲んでいる人の生活もイメージできない。自分の生活どんなといっても、なかなか一言で語れないようなね。いろんな生活のスタイルというのが、必ずしもある種の時代の様式みたいな形で成立していない時代なので、何かが出てくる時代なのかも知れないけれども、環境との関係でいっても、まだそのハードは先行しているけれども、それに合わせた生活の様式というのが必ずしも出ている訳ではなくて、それはひょっとして非常に多様であるかも知れないので、多分この専門の業界の方々の何ていうんでしょうかね、生活そのものをもう一度見つめ直すというか、それはかなり大きなテーマになっているという認識が必要な時代なのかなぁというように思いました。
青山 氏
ありがとうございます。それでは見城さん。
見城 氏
はい。先ほどの月尾先生の話ですと、140年くらいだと1秒くらいですか。本当に短いのですけれど、実は江戸時代から、江戸が終わって明治になってから、140年くらいなんですよね。で、それまでの時代に決して外国かぶれしなかったかというと、家のことで考えると、建築の歴史を見ますと、例えば大陸様式とかね、唐様式。いろんな外からのものを入れて造ってきた訳ですが、何処がちょっと今と違うかと。これ私の史観かも知りませんが、やっぱり今までの時代はそういった外からの文化を必ず大工の技術とか、そういうもので和洋というしっかりとしたものに造ったんですよね。だから、かつての家でしたら200年、300年保ったもの。そしてリサイクルが効きますね。部材をこう変えて。そういうものだったのに何で、ここに来てこんなにメチャメチャになったのかと思うんですが、今、いろんな意味で変わってきていると思います。私はそれと同じように、本当に21世紀型の和洋を創ろうと思っていただければ良いんだろうと。和に戻れというのではなく、21世紀型の。それは例えばペアガラスといったら、ペアガラスのままで終わるのではなくて、ペアガラスというカタカナをもう一度分解して、じゃぁペアペーパーは襖じゃないかというような発想で、この日本にあるものをもう一度考えて新しい和というものを創ってもらいたいんです。期待しています。
青山 氏

ありがとうございました。今回は住まう技術、建てる技術ということで、お送りして参りましたが、この技術というのは非常に崇高な最先端の高い技術であるんだけれども、それはどことなく人間の心とか、優しさとか環境とか、地域とか、そういったものに直接するような非常に柔らかい技術を指しているのかなぁというふうに思いました。これから産業の皆様方には、そういった視点をもって是非、いろいろな家やそれから部材とかを造っていただきたいし、また消費者である私たちはそういった感性をより広い国民の人たちに伝えていけたらなぁというふうに感じました。上手く進行勤められませんでしたが、これは私の不手際ということで皆さんご容赦願いたいと思います。これを持ちましてシンポジウムの方は終わらせていただきたいと思います。まことにありがとうございました。


