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伊藤 滋さん
早稲田大学 特命教授
多世代居住の住宅

今から5年前東京で行われた世界ガス会議で世界から8都市が招かれて、2100年における将来都市像について都市計画のコンペティションが行われた。
そこで多くの都市計画家は、ひとつの大きな住宅に多世代が居住する住生活像を提案した。このコンペティションでは、低炭素都市像を描くことが課題であった。当然多世代居住は低炭素化に貢献する。
しかし同時に彼等は、多世代居住は家族間・近隣間の人間関係を強くすると主張した。彼等は現代社会が生み出した家族の分断、コミュニティの崩壊に強い危機感をいだいていた。多世代居住は家族のつながりを強めるだけではない。他の家族や単身者が同居する場合には、そこに小さな近隣社会が誕生する。多世代が壁を接して同居するときに生れる密度の高い人間関係は、これからの社会の安定にとって極めて重要である。
“ゆとりある住宅”を語るとき、このような居住像も課題にしてもらいたいと思う。
2008年8月28日

