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甲斐 徹郎さん
グリーンチェーン推進ネットワーク 事務局長(株式会社チームネット 代表取締役)
「カスタマー・サティスファクション」から「コミュニティ・サティスファクション」へ

かつての日本の街並みは、大変美しいものでした。そして、日本の住まいは、その美しい地域の環境との一体感を保っていました。そうした「豊かさ」が創造されてきた背景には、現代とは異なる構造があります。かつての住宅には、自らの生活を外界と切り離して成立させる術がありませんでした。そのため、「つながりあう」技術が洗練され、あの美しい街並みが生みだされてきたのです。
ところが、高度成長期以降、「スイッチひとつで快適さを実現できる」ような、自己完結性の高い技術が発達し、日本の住宅は地域の環境と切り離された存在となります。その結果、現代では、単に室内での居住者の満足のみが追求され、地域の全体性は一気に失われてしまいます。
日本に「豊かさ」を取り戻すためには、こうした構造自体を変えなくてはならないと思います。どうやって構造を変えるのか?そこで登場するのが、新しいCS論です。顧客満足を、建築空間の中だけで追求するのではなく、外との「つながり」をもとに組立てる。「つながり」は、敷地境界を越えた領域へと自分の生活を拡張する。そこには、無限大に拡がる風景があり、その風景をなぞってやってくる風がある。
こうした地域の「つながり」を共通の利益としあう近隣住民の間には、ポジティブな人間関係が形成されます。互いに「つながり」を育てあう人間関係は、互いのアイデンティティを尊重しあうコミュニティを創発させます。
こうしたCSモデルを完成させることができれば、日本の企業は、現代の閉塞した街のパラダイムを変える大きなパワーをもった「日本創造ブランド」を確立することができるだろうと思います。
2008年8月28日

